生活習慣病基礎知識

ドクター佐々木の喝!
『継続は力なり。食習慣はこう改善せよ』の巻


〈佐々木先生の解説〉

喝!その1
『食生活を見直すほどカラダは弱っていない』

高血圧や脂質異常症(高脂血症)といった生活習慣病の患者さんの中には、「痛みはないし、大丈夫!」とおっしゃるかたが多くいます。それくらい自覚症状がない疾患なのですが、「痛み」を感じるときというのは、脳卒中や心筋梗塞になってしまったときです。その場合に、以前のカラダに戻ることができるかというと、難しいお話です。ですから、血圧やコレステロールなどの数値が高い場合は、「痛くないからよし」ではなく、あとあと大変なことが起こるサインと受け止めて治療に当たりましょう。「自分は重大な病気にはならない」と思っているあなた、それは危険な賭けです。病気は「一生モノ」となるおそれが十分にあります。たとえば家を建てるときと同じです。将来のことを考え、そして金利を細かく計算してローンを組み、コツコツと返済していく。人間の、ひとつの命はそれ以上に重く貴いですから、ご自身の健康についても計画を立ててコツコツと実践していってはいかがでしょう。食事療法は楽しみながら取り組めますし、毎日カラダにいい食事を続けたら、その結果は少しずつカラダに貯まります。ご自身だけでなく、ご家族のためにも始めましょう。


喝!その2
『食生活をどう変えたらよいのか分からない』

どう変えたらよいのか分からないのは、当然のことです。自分の食事のことは分かっているような気がしますが、食べた物が体内でどう作用しているかは、なかなか分かりません。自己判断による見当違いで、しなくていい苦労やまったく逆効果な努力をしていることも多々あります。食事療法で欠かせないのは、プロの科学的なアドバイスです。まずは医師や管理栄養士に、普段のありのままの食生活を聞いてもらいましょう。
たとえばLDL(悪玉)コレステロールの原因ひとつをとっても、肉の脂身や牛乳、お菓子の過剰摂取など、問題点は人それぞれで違います。すべてを控えなければならないわけではありません。問題点と重要度をハッキリさせれば、該当しない食べ物は現状の量を摂取することができます。それが「楽しみながら実践すること」のポイントでもあります。そうした相談を行ったうえで、自分がすべきことを整理して、優先順位をつけ、できるところから実践に移していくことが大切です。このように、人によって注意すべきことは違うわけですが、基本的にはお肉が少なめで野菜や穀類が多く、毎回何品目かを食べる日本型の食事は理にかなったものですから、日本人は他の国の人たちよりも有利な立場にいると考えてよいでしょう。しかし、塩分の多い調味料を多用するという問題があることを忘れてはなりません。また、食べ方としては、ひとつひとつの味を噛みしめるように、ゆっくり楽しんで食べることをお勧めします。私たちの研究によれば、「ゆっくり食べる人のほうが、太りにくい」ことが判っています。


喝!その3
『食事療法を続けていく自信がない』

何よりも大切なのは、楽しんで続けることです。たとえば指標のひとつに「1日の摂取カロリー」がありますね。もちろん食べ物ごとのカロリーを知っておくことは大事ですが、それを気にするあまり食べる楽しみを失っては本末転倒です。実際、毎日カロリーを考えて食事の量を減らすことは難しいので、1日単位ではなく1週間単位で考えてみてはいかがでしょう。たとえば、「きょうは揚げ物の日」のように食べたいものを食べる日と、それを抑える日を作るとよいでしょう。「きょうは○○の日」とすることで、食事をイベントのように楽しむこともできます。また、食べ物や栄養の摂り方を工夫してみてはいかがでしょうか。たとえば「1日に野菜を300g摂る」といった場合、サラダで摂ろうとするとたいへんなボリュームですが、季節の野菜を何品か煮物にすると比較的容易に摂ることができます。ぜひご家族で話し合って、楽しみながら行えるひと工夫を毎日の食事に取り込んでいただきたいと思います。すでに薬物療法をされているかたも、食事療法を続けてください。食事は病気の源流に、薬は患部にはたらきかけるからです。

“食事”での療法ですから、
楽しんで摂ることが第一です。