生活習慣病と節酒節酒について

飲酒量と生活習慣病との関係
高血圧とアルコール
血圧に対するアルコールの影響は複雑で、お酒を飲むと血管が拡張して一時的に血圧は下がります。しかし、長い間飲み続けていたり、飲酒量が多いほど高血圧になるリスクが高くなり、ひいては心臓病や脳卒中を引き起こす原因ともなります。また、お酒を飲むときに塩分の多いおつまみを食べてしまうのも血圧を上昇させる原因となります。
脂質異常症とアルコール
体の中の脂質のバランスが崩れてしまうことを脂質異常症といいます。アルコールの過剰摂取は、トリグリセリド(中性脂肪)の増加につながり、高トリグリセリド血症を招いて急性すい炎のリスクを高めます。一方、いわゆる善玉コレステロールであるHDLコレステロールもアルコール摂取量の増加にともない増加しますが、過度のアルコール摂取は肥満や高血圧を引き起こすため、適量にとどめたほうがよいでしょう。1)
糖尿病とアルコール
適切な飲酒による適量のアルコール摂取は糖尿病の発生を抑えると考えられています。具体的には1日あたり20~25g程度のアルコール摂取が糖尿病の発生を抑えるとされています。しかしそれを超えた飲酒量では、肝臓に蓄積した脂肪への影響や、すい臓からのインスリン分泌を抑える影響から、血糖値を上昇させる可能性があると考えられています。また飲みすぎ、食べすぎによってカロリー過多になることこそ、血糖値を上げる最大かつ重要な原因となります。2)
飲酒量と健康リスク
純アルコール量に着目しながら、自分に合った飲酒量を決めて、健康に配慮した飲酒を心がけることが大切です。
お酒に含まれる純アルコール量は、
「純アルコール量(g)=摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)」で表すことができます。3)
例: ビール500ml(5%)の場合の純アルコール量
500(ml) × 0.05 × 0.8 = 20(g)

国内では「1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上の飲酒をしている者」の減少を目標として、健康づくりの取り組みを推進しています。
健康に配慮した飲酒の仕方
飲酒をする場合においても、様々な危険を避けるために、以下のような配慮等をしましょう。
- (1)自らの飲酒状況等を把握する。
- (2)あらかじめ量を決めて飲酒をする。
- (3)飲酒前または飲酒等に食事をとる
- (4)飲酒の合間に水(又は炭酸水)を飲むなど、アルコールをゆっくり分解・吸収できるようにする。
- (5)一週間のうち、飲酒をしない日を設ける。
<参考>
- 1) 厚生労働省e-ヘルスネット:アルコールと脂質異常症 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-014.html 2024/3/1参照
- 2) 厚生労働省e-ヘルスネット:アルコールと糖尿病 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-013.html 2024/3/1参照
- 3) 厚生労働省:健康に配慮した飲酒に関するガイドライン https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37908.html 2024/3/1参照