生活習慣病と節酒節酒について

飲酒量と生活習慣病との関係
厚生労働省の「e-ヘルスネット」によると、飲酒量と健康リスクとの関係はさまざまなパターンをとり、高血圧、脂質異常症などは飲酒量と正比例関係、2型糖尿病などはJパターンをとるとされています1)。長期にわたる多量の飲酒は控え、「節度ある適度な飲酒量」を心がけましょう。
飲酒量と発症リスクとの関係
高血圧、脂質異常症など

↓
飲酒量が多くなるほどリスクが高くなる
2型糖尿病、虚血性心疾患、脳梗塞など

↓
少量飲酒する方が飲酒しないことに比べて
リスクは低いが、飲酒量が増えればリスク
が高くなる
厚生労働省e-ヘルスネット:飲酒とJカーブ https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-001.html 2016/11/1参照
高血圧とアルコール
血圧に対するアルコールの影響は複雑で、お酒を飲むと血管が拡張して一時的に血圧は下がります。しかし、長い間飲み続けていたり、飲酒量が多いほど高血圧になるリスクが高くなり、ひいては心臓病や脳卒中を引き起こす原因ともなります。また、お酒を飲むときに塩分の多いおつまみを食べてしまうのも血圧を上昇させる原因となります。
脂質異常症とアルコール
アルコールは、肝臓内での中性脂肪(トリグリセライド)の合成を増加させます。多量の飲酒により中性脂肪の合成が過剰になり、肝臓の外に分泌されて高トリグリセライド血症の原因となります。
一方、動脈硬化を抑える働きをする「善玉」のHDLコレステロールは、飲酒量の増加に伴って増加します2)。しかし、「善玉」といっても多ければ多いほどよいというわけではなく、多量の飲酒を長期間続けている方では著しい高HDLコレステロール血症を認め、虚血性心疾患を合併することもあります。
糖尿病とアルコール
アルコールは肝臓内に蓄えられているグリコーゲン(糖質)からブドウ糖への分解を促して、一過性に血糖値を上げます。さらに、脂肪やたんぱく質が多いおつまみはカロリー過剰から高血糖を助長させます。一方で、アルコールは低血糖発作を引き起こすことがあり、十分な食事を摂らずにお酒を飲むと低血糖になるおそれがあります。
「節度ある適度な飲酒量」ってどのくらい?
厚生労働省によると、「節度ある適度な飲酒」とは以下のように定義されています。
「通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、節度ある適度な飲酒として、
1日平均純アルコールで20g程度である。」3)

「純アルコールで20g程度」とは、「ビール中ビン1本」「日本酒1合」「チュウハイ(7%)350 mL缶1本」「ウィスキーダブル1杯」に相当するとされています3)。女性は男性に比べて臓器障害を起こしやすいので、女性の飲酒量は男性の1/2~2/3程度とし、65歳以上の高齢者もアルコールの分解速度が下がるため飲酒量を少なくすべきでしょう3)。
節酒のコツ―気長に節酒を続けるために
1.節酒目標を立てましょう
ご自分の飲酒の程度(1日の飲酒量、飲酒の頻度や期間など)を客観的に評価し、その結果から無理なく続けられる節酒目標をできるだけ具体的な数値を用いて立てましょう。
たとえば・・・
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2.無理をせず、気長に取り組みましょう
節酒と禁酒は異なります。きっぱりやめてしまう必要はありません。無理のない範囲で継続可能な節酒目標を立て、焦らず、気長に取り組んでいきましょう。
3.節酒を続けるためにできることをいろいろ試してみましょう
- 節酒宣言をして、周りの人に協力してもらう
- 飲酒のデメリットを考えてみる
- 節酒のメリットを考えてみる
- 飲酒以外の楽しみをみつける
- 節酒仲間をみつける
- 挫折しそうなときは、これまでの努力を思い浮かべてみる
- 節酒できていることに自信をもつ
- たまに多量飲酒してしまったとしても節酒をあきらめない
<参考>
- 1) 厚生労働省e-ヘルスネット:飲酒とJカーブ https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-001.html 2016/11/1参照
- 2) 厚生労働省e-ヘルスネット:アルコールと高脂血症 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-014.html 2016/11/1参照
- 3) 厚生労働省e-ヘルスネット:飲酒のガイドライン https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-003.html 2016/11/1参照