脂質異常症の診断と症状
脂質異常症の原因と症状とは?
脂質異常症の原因
脂質異常症の発症には、過食、運動不足、肥満、喫煙、アルコールの飲みすぎ、ストレスなどが関係しているといわれています。特に、お腹の中に脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」の方はLDLコレステロールや中性脂肪が多くなり、HDLコレステロールが少なくなりやすい傾向があります。
また、遺伝的な要因によって起こる「家族性高コレステロール血症」と呼ばれているものもあります。このタイプは、遺伝性ではないタイプのものに比べてLDLコレステロール値が著しく高く、動脈硬化が進行しやすいことが知られています。親や祖父母、兄弟など血のつながったご家族に脂質異常症や55歳未満(男性の場合)または65歳未満(女性の場合)で心筋梗塞を起こした方がいる場合、家族性高コレステロール血症の可能性が高いため、まず、ご自身のLDLコレステロール値を確認してみましょう。
脂質異常症の種類
脂質異常症は、血液中に多く(または少なく)なる脂質の種類によって4つのタイプに分類されています。
増減する脂質の種類による分類
また、生活習慣の乱れや遺伝的な要因で起こるもの以外に、甲状腺機能低下症1)や副腎皮質ホルモン分泌異常2)などのホルモンの分泌異常、糖尿病や腎臓病などの他の疾患、ステロイドホルモンや避妊薬などのお薬によるものもあります。
原因による分類
1)甲状腺機能低下症とは・・・
甲状腺は甲状腺ホルモンを分泌し、食物として摂取した栄養素をエネルギーに変えるなど、新陳代謝を促進する働きをしています。甲状腺機能低下症とは、甲状腺の働きが低下して、甲状腺ホルモンの産生が不十分になる病気です。
2)副腎皮質ホルモン分泌異常とは・・・
副腎皮質ホルモンは、ミネラル(ナトリウム、カリウムなど)や糖の利用を調整する、血圧を正常に保つなど、生命維持に必須のホルモンです。このホルモンが何らかの原因で分泌異常になるとさまざまな影響が現れます。
脂質異常症の症状
多くの場合、脂質異常症は症状が現れることはありません。健康診断で“検査値がよくないですよ”といわれても、自覚症状がないので放置してしまっている方も多いのではないでしょうか。実は、これが脂質異常症の怖いところで、気がつかないうちに動脈硬化が進んでしまうかもしれないのです。
家族性高コレステロール血症
家族性高コレステロール血症の場合、コレステロールの沈着による脂肪のかたまりが手足の腱や皮膚にできたり、コレステロールの白い色素が黒目のふちに沿って沈着してみられることがあります。
アキレス腱黄色腫(脂肪のかたまりがアキレス腱にできたもの)
角膜輪(コレステロールの沈着によってできた白い輪)