生活習慣病と禁煙禁煙について

喫煙の何がそんなに悪いのか
タバコの煙には多くの物質が含まれていますが、健康被害をもたらすのは主にニコチン、一酸化炭素、タールの3つで、生活習慣病と関連するのはニコチンと一酸化炭素です。

高血圧と喫煙
喫煙は交感神経を刺激して血圧を上げ、脈拍を増やします。高血圧の方は、心筋梗塞や脳卒中の原因となる動脈硬化が進みやすい状態にありますが、喫煙は動脈硬化のリスクをさらに高めます。
脂質異常症と喫煙
喫煙は血液をドロドロにして、血液が固まりやすい状態にさせます(血栓形成)。さらに、「善玉」のHDLコレステロールを減らし、「悪玉」のLDLコレステロールと中性脂肪(トリグリセライド)の原料となる遊離脂肪酸を増加させます。脂質代謝の点からみても、喫煙は動脈硬化を進行させる大きな危険因子なのです。
糖尿病と喫煙
喫煙は交感神経を刺激して血糖を上昇させ、さらにインスリンの働きを妨げます。そのため糖尿病にかかりやすくなります。また、糖尿病の患者さんが喫煙すると治療の妨げとなり、動脈硬化や糖尿病性腎症などの合併症リスクが高まります。
喫煙は血圧、脂質代謝、糖代謝のすべてに
悪影響を及ぼす
生活習慣病以外にも喫煙はいろいろな害をもたらす
喫煙が深く関わる疾患には高血圧、脂質異常症、糖尿病や動脈硬化以外に、がん、くも膜下出血や脳梗塞などの脳卒中、慢性閉塞性肺疾患などがあり、妊婦や胎児・新生児への害、美容、受動喫煙による周囲の人への害など、実に多くの弊害をもたらします。
たとえ本数が少なくてもおすすめできません。この際きっぱりと、禁煙宣言を掲げましょう。

禁煙のための具体的なアドバイス
まずは、何はともあれ「きっぱりやめる」という決心からスタートしましょう。
◎ニコチン置換療法
自分の意志だけでは禁煙できない方にはニコチン置換療法という方法もあります。
ニコチン置換療法とは
ニコチン置換療法とは、喫煙習慣をニコチン依存ととらえ、ニコチン依存を段階的に改善しながら、禁煙に導く補助的な療法です。ニコチンを喫煙以外の方法で摂取し、ニコチン摂取量を徐々に減らし、最終的にニコチンの摂取量をゼロにすることを基本としています。
ニコチンガム
ガムを噛むとニコチンが溶け出し、口腔粘膜から吸収されます。最初はタバコが吸いたくなったら噛み、次第にガムを噛む回数を減らしていきましょう。
- <メリット>
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- 吸いたくなったらいつでも使用できる
- ニコチン補充と口寂しさをまぎらわすのにすぐに使える
- 薬局で買える
処方せんなしでも薬局で購入することができます。使用上および取り扱い上の注意を守って正しく使用しましょう。
ニコチンパッチ
1日1回、上腕やお腹に貼ります。1時間に1本タバコを吸うのと同程度のニコチンが皮膚から吸収されます。(使用に際し、かかりつけの医師の処方が必要となります)
- <メリット>
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- ニコチンが確実に補充される
- 1日1回でよい
- 他人に気づかれない
◎禁煙のための飲み薬
禁煙のための飲み薬
タバコを吸うと、脳にあるニコチン受容体という部分にニコチンが結合して、快感を生じさせる物質(ドパミン)を放出させます。この受容体に結合してニコチンの場合より少量のドパミンを放出させ、イライラなどのニコチン切れ症状を軽くするお薬です。
また、ニコチンが受容体に結合するのを邪魔して、禁煙中に一服してしまったときの“おいしい”といった満足感を感じにくくすることにより、禁煙を助けることができます。