脂質異常症の診断と症状
脂質異常症の診断基準

脂質異常症の診断基準
日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、脂質異常症の診断基準は以下の通りとなっています。
脂質異常症の診断基準
- 高LDLコレステロール血症
- 140mg/dL以上
- 境界域高LDLコレステロール血症
- 120~139mg/dL
- 高トリグリセライド(中性脂肪)血症
-
(空腹時)150mg/dL以上
(随時)175mg/dL以上
- 低HDLコレステロール血症
- 40mg/dL未満
- 高Non-HDLコレステロール血症
-
170mg/dL以上
- 境界域高Non-HDL
コレステロール血症 - 150~169mg/dL以上
動脈硬化症疾患予防ガイドライン2022年版 日本動脈硬化学会:22、2022より作図
また、家族性高コレステロール血症の診断基準は以下の通りです。
家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体の場合:
15歳以上の家族性高コレステロール血症(ヘテロ接合体)診断基準1)
- (1)高LDLコレステロール血症(未治療時のLDLコレステロールが180mg/dL以上)
- (2)腱黄色腫(手背、ヒジ、ヒザなどの腱黄色腫やアキレス腱肥厚)または皮膚結節性黄色腫が認められる
- (3)家族(第一度近親者)に家族性高コレステロール血症または早発性冠動脈疾患の方がいる
15歳未満の家族性高コレステロール血症(ヘテロ接合体)診断基準1)
- (1)高LDLコレステロール血症(未治療時のLDLコレステロールが140mg/dL以上)
- (2)両親または兄弟(血族)に家族性高コレステロール血症の方がいる
- (3)両親のLDLコレステロールが180mg/dL以上または、祖父母や両親に早発性冠動脈疾患の方がいる
家族性高コレステロール血症ホモ接合体の場合:
下記のすべてが確認される場合に家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)と診断されます1)。
- (1)総コレステロール値が600mg/dL以上
- (2)黄色腫と動脈硬化性疾患が小児期から認められる
- (3)両親が家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体である
黄色腫:
アキレス腱、ヒジ、ヒザ、お尻などの皮膚にコレステロールの沈着による脂肪のかたまりができたもの
アキレス腱肥厚:
アキレス腱が盛り上がって、足首からかかとにかけて段差があるような状態
早発性冠動脈疾患:
冠動脈疾患が男性では55歳未満、女性では65歳未満で発症した場合に早発性と定義されています1)。
MEMO
ヘテロ接合体とホモ接合体
家族性高コレステロール血症は遺伝性の疾患です。ヒトの遺伝子は、父親由来の遺伝子と母親由来の遺伝子とが一対になっていますが、家族性高コレステロール血症では、主にLDL受容体の遺伝子の両方(父親・母親由来の両方)に異常がある場合を「ホモ接合体」、父親または母親由来の遺伝子のいずれか一方のみに異常が認められる場合を「ヘテロ接合体」と呼んでいます。
<参考>
- 1) 動脈硬化症疾患予防ガイドライン2022年版 日本動脈硬化学会:160、2022