脂質異常症の診断と症状
動脈硬化の危険因子と動脈硬化による疾患

動脈硬化の危険因子
動脈硬化の進行や動脈硬化による疾患の原因になる「危険因子」には次のようなものがあります1)。あなたはこれらの危険因子をいくつ持っていますか?

- 喫煙
- 高血圧
- 糖尿病(耐糖能異常を含む)
- 脂質異常症
- 慢性腎臓病
- 肥満(特に内臓脂肪肥満)
- 加齢・性別(男性または閉経後女性)
- 家族歴※
※家族歴:実祖父母、実父母、血縁の兄弟姉妹の脳心血管病や生活習慣病の既往や合併、特に若年発症例
持っている因子の数が多いほど、動脈硬化が進行しやすかったり、動脈硬化が関係する疾患を発症するリスクが高くなります。そのため、LDLコレステロールや血圧を適切に管理することが重要になります。禁煙、体重管理、食事管理、身体活動・運動、飲酒など生活習慣の改善が動脈硬化性疾患予防の根幹です。重大な疾患を招く前に、できることから徐々に始めていきましょう。
動脈硬化が引き起こす疾患
動脈硬化は、脳や心臓などにさまざまな疾患を引き起こします。2)
傷つき、弱くなった血管が切れてしまったら・・・
- 脳の深い部分に血液を送る細い動脈が傷つき、弱くなっているところに高い血圧がかかって切れてしまったら・・・
- 脳出血
- お腹や胸の大動脈がふくれて、破れて大出血を起こしやすい状態になっていたら・・・
- 大動脈瘤
血栓(血液のかたまり)が、血管の細い部分でつまってしまったら・・・
それが心臓を養っている血管(冠動脈)だったら
- 一時的につまって、心臓を動かす筋肉に酸素や栄養が一時的に行き届かなくなったら・・・
- 狭心症
- つまった状態が続いて、心臓を動かす筋肉に酸素や栄養が十分に行き届かず、その一部が死んでしまったら・・・
- 心筋梗塞
それが脳の血管だったら
- 一時的につまって、脳に酸素や栄養が一時的に行き届かなくなったら・・・
- 一過性脳虚血発作
- つまった状態が続いて、脳に酸素や栄養が十分に行き届かず、その一部が死んでしまったら・・・
- 脳梗塞
それが手足の血管だったら
- 手足、特に足の先へ酸素や栄養が十分に行き届かなくなったら・・・
- 閉塞性動脈硬化症
<参考>
- 1) 動脈硬化症疾患予防ガイドライン2022年版 日本動脈硬化学会:153、2022
- 2) 国立循環器病研究センター https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/ 2023/2/1参照